口臭と不登校

今回は５年位前のゴールデンウィーク前の話。

その患者さんは、３月に高校を卒業したばかりで、

パティシェになるために専門学校へ入学したばかり。

希望に燃えて入学したのだが、、、

その子は、１８歳の女子。

高校の時から、ひょっとしたら口臭で周りの人に迷惑かけているかもと、

漠然とした不安を持っていたそうだ。

でも、高校の教室では机が独立していたので、

友人との距離をある程度、おくことができた。

彼女の悩みは、学校に行きたくない、退学したいとのこと。

せっかく、希望を持って入学して１ヶ月もしていないのに。

口臭外来に来るというのは、口臭を治したいということなんだけど、

何が、退学したいとまで思わせたのか？

それは、机の配置にあったのです。

高校までは、独立した机だったので、机との間は、

人が通れるくらいの距離があったのですが、

専門学校の教室は長い机に開閉式の椅子だったのです。

つまり、隣の人と肩が触れ合うくらいの距離だったのです。

これでは、隣の人に自分が口臭がある人とわかってしまうという不安。

不安が退学をしたいとまで思わせるまでに至ったのです。

わたしは夢をふくらませて将来の夢を実現させたいと思った少女を

なんとか救いたいと思いました。

ゴールデンウィーク後に再来院した時の彼女は

笑顔で楽しい学校生活へと戻りました。

もちろん、口臭の悩みを解決できたからです。

たかが、口臭ではないのです。

体臭科を標榜している五味先生の話では

自殺する人の２０％は体臭を悩んだ結果だと聞いています。

わたしは、口臭外来を受診する方の命を救おうと思って

診療にあたっています。

気にしすぎ、とか気のせいなんてことは

言いません。